通貨ペアのスポット取引量

通貨ペアのスポット取引量は、スポットレートの流動性を表します。スポット取引量が大きい通貨ペアは流動性が高く、スポット取引量が小さい通貨ペアは流動性が低いです。流動性が高いとインターバンク市場の注文数量が多いので、スポットレートのボラティリティは低く、スプレッドは狭くなる傾向があります。流動性が低いとインターバンク市場の注文数量が少ないので、スポットレートのボラティリティは高く、スプレッドは広がる傾向があります。流動性が低い時にレートを指定して注文すると、すべての注文数量が指定したレートで約定できずにスリッページが発生することがあります。スリッページは、注文価格と約定価格の差額です。流動性は時間帯でも変わります。流動性が低い時間帯は、日本時間の早朝、各国の祝日が重なる時、重要な経済指標の発表時間の前後、大きなニュースが突然入った時などです。

BISの最新調査である世界の2019年4月の1営業日当たり平均スポット取引量は、約1兆9,874億ドルです。主な通貨ペア別スポット取引量（シェア）は、ユーロドル4,163億ドル（20.9％）、ドル円2,599億ドル（13.1％）、ポンドドル1,671億ドル（8.4％）、豪ドルドル1,268億ドル（6.4％）、ドルカナダ1,055億ドル（5.3％）です。これらの通貨ペアのシェアの合計は54.1％で、メジャー通貨ペアです。米ドルを含む通貨ペアのスポット取引量のシェアは85％で、米ドルは基軸通貨です。高金利の通貨ペアではリラ円9億ドル（0.1％未満）ランド円7億ドル（0.1％未満）で、マイナー通貨ペアです。

日本の2019年4月の1営業日当たり平均スポット取引量は、約976億ドルです。通貨ペア別の主な内訳はドル円500億ドル（51.3％）、ユーロ円96億ドル（9.9％）、ユーロドル93億ドル（9.6％）、ポンド円66億ドル（6.8％）、豪ドル円50億ドル（5.2％）です。ドル円とクロス円が大きな割合を占めます。高金利の通貨ペアではリラ円約5億ドル（0.5％）ランド円6億ドル（0.6％）です。リラ円、ランド円の世界のスポット取引量の日本のシェアは、リラ円55.5％、ランド円85.7％です。

世界の市場参加者別のスポット取引量（シェア）は、インターバンク参加者（銀行、仲介会社）、1兆0,411億ドル（52.4％）、機関投資家3,083億ドル（15.5％）、ヘッジファンド・プロップファーム2,611億ドル（13.1％）、公的金融機関176億ドル（0.9％）、その他金融機関（投資信託会社、投資顧問会社、保険会社、年金基金、中央銀行、政府系ファンド、国際金融機関）2,011億ドル（10.1％）、非金融機関（輸出入企業、政府系機関、個人、FX専業会社）1,590億ドル（8％）です。通貨ペアのスポット取引量は、市場参加者ごとに特徴があります。インターバンク参加者のスポット取引量は、インターバンク参加者の間でカバー取引が何度もあるので大きくなります。また、短期売買を繰り返す市場参加者は、スポット取引量が大きくなります。

通貨ペア別市場参加者別の2019年4月の1営業日当たり平均スポット取引量とシェアの表は、下記の通りです。これらの表の見出しをクリックすると並び替えができます。通貨ペアは、英語で表記しています。通貨ペアの英語表記の読み方が分からない方は下記の記事をご覧ください。

通貨ペアの英語表記の読み方

2018年11月2日