購買力平価説と為替レート

購買力平価とは何でしょうか?為替レートとの関係はどうなっているのでしょうか?

購買力平価と為替レートのかい離

為替レートの変動要因が実需だけの場合、需要と供給の価格メカニズムにより為替レートは均衡価格へ向かいます。為替レートの均衡価格は購買力平価です。しかし、実際には投機の変動要因が大きく、購買力平価から大きくかい離します。投機とは為替差益を狙った取引です。実需は買い切り、売り切りの取引ですが、投機は買い戻し、売り戻しの取引です。そのため、投機が少なくなると為替レートは購買力平価に向かいます。価格メカニズムが分からない方は下記の記事をご覧ください。

直物為替レートの決まり方

2019年2月1日

購買力平価説

購買力平価は異なる通貨の購買力が同じになる為替レートです。購買力とはある商品を買える通貨の数量です。例えば、世界中で売られている商品である、マクドナルドのビッグマックで考えてみます。アメリカで5ドル、日本で400円で売っているとします。1ドル80円であれば、アメリカと日本のビッグマックの価値は同じです。この為替レートを絶対的購買力平価といいます。

絶対的購買力平価

もし、アメリカと日本のビッグマックの価値が違ったらどうなるのでしょうか?1ドル70円であれば、アメリカで350円で買えます。日本では400円なのでアメリカで買った方が50円安いです。アメリカで350円で買って、日本で400円で売れば50円の利益です。ビッグマックは現実的ではないですが、価格の差額が大きい商品は為替取引されます。この場合、円でドルを買うのでドル高になります。ドル高になると利益が減っていくので、為替取引は減っていきます。

相対的購買力平価

世の中にはたくさんの商品が存在し、商品ごとに絶対的購買力平価を計算するのは大変です。購買力平価は商品全般をまとめて計算する相対的購買力平価が一般的です。相対的購買力平価は商品の物価指数(インフレ指数)で計算します。例えば、前年の商品全般の価格がアメリカが10ドル、日本が1,000円、購買力平価が1ドル100円とします。前年比の物価指数がアメリカで103、日本で101とします。これは商品全般の価格がアメリカでは3%上昇し、日本では1%上昇したという意味です。今年の商品全般の価格はアメリカが10.3ドル(10×103÷100)、日本が1,010円(1,000×101÷100)です。商品全般の価格が同じになる購買力平価は1ドル98.05円(1,010÷10.3)です。
インフレ率が高い国の通貨は、購買力平価が下がるので為替レートは下がります。インフレ率の高い国は金利が高いことも多いので、高金利通貨の為替レートは注意が必要です。

相対的購買力平価の計算方法

物価指数は消費者物価指数、企業物価指数、輸出物価指数などがあります。消費者物価指数は消費者が買う商品、企業物価指数は企業間で売買される商品、輸出物価指数は輸出品が対象です。どの物価指数で相対的購買力平価を計算すべきかは、2国間の経済構造により異なります。公益財団法人国際通貨研究所のドル円の購買力平価は下記の通りです。

ドル円の購買力平価と市場レート

公益財団法人国際通貨研究所より引用

ドル円は1980年代の後半から2010年代の前半にかけて、おおむね輸出物価指数を下限、企業物価指数を上限として推移してきました。2010年代後半からはおおむね消費者物価指数を上限に推移しています。ドル円が推移する範囲が変わった理由は、日本の製造業の海外移転、科学技術の発展による産業構造の変化などです。今後も日米の経済構造の変化により、ドル円の推移範囲は変化します。