FXと外貨預金の違い

外貨預金とFXの違いとは何なのでしょうか?違いはたくさんありますが、図や具体例で分かりやすく説明します。

目次

取引の流れ

外貨預金は現物取引、FXは信用取引です。現物取引は一般的な取引です。信用取引には「差金決済取引」、「レバレッジ」、「売りから取引を始められる」という特徴があります。信用取引では外貨の受け渡しを行わずに、外貨の為替差損益の受け渡しで決済します。投資家は外貨の売買金額を決めますが、FX会社と外貨の受け渡しは行いません。外貨預金とFXの取引の流れの違いは下記の通りです。

外貨預金

外貨預金の取引の流れ

購入時は投資家は1ドル100円の時に100万円で、1万ドルを購入することを銀行に伝えます。銀行はインターバンク市場を通じて100万円を1万ドルに交換し、投資家に渡します。

売却時は投資家は1ドル102円の時に102万円で、1万ドルを売却することを銀行に伝えます。銀行はインターバンク市場を通じて1万ドルを102万円に交換し、投資家に渡します。

FX

FXの取引の流れ

購入時は投資家は証拠金100万円をFX会社に預けます。そして、1ドル100円の時に証拠金100万円で、2万ドルを購入することをFX会社に伝えます。FX会社はインターバンク市場を通じて200万円を2万ドルに交換しますが、投資家には渡しません。

売却時は投資家は1ドル102円の時に204万円で、2万ドルを売却することをFX会社に伝えます。FX会社はインターバンク市場を通じて2万ドルを204万円に交換し、為替差益の4万円を投資家に渡します。

レバレッジ

外貨預金とFXの最大の違いはレバレッジです。外貨預金はレバレッジが使えませんが、FXはレバレッジが使えます。FXはFX会社に預けたお金を担保にして、投資資金よりも大きい取引ができます。例えば、レバレッジ10倍なら投資資金の10倍の取引ができ、為替差損益と金利も10倍になります。レバレッジ1倍であれば外貨預金と同じ取引金額です。投資資金100万円で1万ドルを1ドル100円で購入した場合の外貨預金とFXの違いは下記の通りです。

外貨預金とFXのリスクとリターンの違い
リスクまたはリターン 外貨預金
取引金額100万円
FX
レバレッジ1倍
取引金額100万円
レバレッジ10倍
取引金額1,000万円
1ドル101円
(円安)
+1万円 +1万円 +10万円
1ドル99円
(円高)
-1万円 -1万円 -10万円
金利 取引金額
×預金金利
取引金額
×スワップポイント
取引金額
×スワップポイント

為替差損が出た場合、レバレッジの倍率に応じてリスクが違います。為替差損のリスクには「元本割れのリスク」、「元本消滅のリスク」、「元本を超える損失のリスク」があります。FXのレバレッジの詳細については、下記の記事をご覧ください。

レバレッジに応じたリスク、リターンと損失許容額と目標利益額

FXのレバレッジは何倍までが安全か

2018年9月17日

注文方法

外貨預金は「買い」からしか注文ができませんが、FXは「買い」と「売り」の両方から注文ができます。「買い」から注文すると円安になったら利益です。「売り」から注文すると円高になったら利益です。投資資金100万円で1万ドルを1ドル100円で購入した場合の注文方向に応じたリスクとリターンの違いは下記の通りです。

注文方向に応じたリスクとリターンの違い
リスクまたはリターン 外貨預金 FX
レバレッジ1倍
1ドル101円
(円安)
+1万円 +1万円 -1万円
1ドル99円
(円高)
-1万円 -1万円 +1万円

ニュースで「ヘッジファンドが空売りをしかけた」と聞いたことがありませんか?空売りというのは「売り」から取引を始めることをいいます。ヘッジファンドがいつ空売りをしたかは一般的には分かりません。しかし、利益が大きいならば空売りされると予測できます。利益が大きい例として、最安値にストップ注文がたくさん集まっている場合を考えてみます。ストップ注文とは損失を限定するための決済注文です。最初に買い注文した人のストップ注文は売り注文で、最初に売り注文した人のストップ注文は買い注文です。

ヘッジファンドの空売りによる為替レートの値動き

ヘッジファンドは、相場が落ち着いている時から空売りを始めます。最安値を下回るとストップ注文がなされ、ヘッジファンドの売り浴びせとともに為替レートは急落します。この例のストップ注文は売り注文です。ヘッジファンドは、目標の利益に達したら買い戻して取引を終えます。

金利と為替手数料

金利はネット銀行の外貨定期預金、FXが高いです。金利がもらえる日も違います。外貨定期預金は満期日と解約日に、FXは毎日もらえます。また、外貨定期預金は買った時の金利で金利が固定され、FXは毎日金利が変わります。FXの金利はスワップポイントと呼ばれます。

為替手数料はFXが安いです。FXの為替手数料はスプレッドと呼ばれます。

外貨預金とFXの金利と為替手数料の主な違い
外貨普通預金 外貨定期預金 FX
金利 高(ネット銀行)
小(メガバンク)
金利受取日 年2回が多い 満期日、解約日 毎日
為替手数料 小(ネット銀行)
大(メガバンク)
小(ネット銀行)
大(メガバンク)
僅少

外貨預金とFXの金利と為替手数料の詳細の比較は下記の記事をご覧ください。

FXの表彰台

FXの金利と為替手数料の比較ランキング

2018年7月24日
外貨預金の表彰台

外貨預金の金利と為替手数料の比較ランキング

2018年12月11日

FXのスワップポイントと、スプレッドの仕組みを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

スワップポイントの仕組みとは

2018年10月19日

為替のスプレッドの決まり方

2018年11月13日

通貨ペアの種類

メジャーな通貨ペアはFXと外貨預金のどちらにもあります。マイナーな通貨ペアは外貨預金よりもFXの方が種類が多いです。通貨ペアの種類は多ければよいというものではありません。国の経済動向、経済政策、金融政策はそれぞれ違います。これらがよく分かる通貨ペアから始めるとよいです。初心者の方は通貨の取引量が多く、投機取引で為替を動かしづらい「ドル」、「ユーロ」、「円」がおすすめです。

中途解約

外貨定期預金は原則として中途解約できません。中途解約した場合は手数料が発生します。外貨普通預金、FXはいつでも解約できます。中途解約できるメリットは為替の動きに対応できることです。為替が急上昇した時は、金利よりも早期に稼ぐことができます。急落した時は、早めに損失を確定することで損失額の拡大を防げます。

信託保全

外貨預金は国が保証する預金保険の対象ではありません。外貨預金はつぶれた会社の財産状況に応じて、どのくらい戻ってくるかが決まります。FXも預金保険の対象ではありませんが、分別管理の対象です。2009年8月1日に金融商品取引業等に関する内閣府令が改正、施行され、FXの分別管理は信託保全のみとなりました。信託保全はFX会社が投資家から預かった証拠金、評価損益、スワップポイントを、FX会社の資産と区分して信託銀行に信託します。FX会社がつぶれた場合でも投資家の資産が保全される仕組みになっています。

通常時の信託保全の流れ

投資家はFX会社に証拠金を預けます。FX会社は預かった証拠金を信託銀行に信託します。信託状況と信託残高の確認は弁護士等が行います。

破綻時の信託保全の流れ

信託銀行は証拠金を弁護士等に返還します。弁護士等は返還された証拠金を投資家に返還します。

税金

この記事は最新の税法に基づいています。税法は専門用語が多くて分かりづらいですが、「確定申告が不要な場合」と「FX(国内)が税制上優遇されている」という点は覚えておきましょう。表に記載の確定申告が不要な「例外」とは以下の方です。

  • 年収2000万円以下で1つの会社からしか給料をもらっておらず、給料と退職金以外の所得金額が20万円以下の方
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等の雑所得以外の所得金額が20万円以下の方
  • 納付すべき所得税額が生じない方(所得金額が38万円以下の方など)

損失が生じた場合、国内のFX会社では損失の繰越控除ができます。上記の確定申告が不要な方でも、同年度の他の雑所得と相殺できる場合は確定申告した方がよいです。

外貨預金とFXの課税対象と税率、確定申告の有無、損失の繰越控除の有無
税金の対象 外貨預金
(国内)
FX
(国内)
FX
(海外)
税率 利息
スワップポイント
20.315%(源泉分離課税) 20.315%(分離課税) 5%~45%(総合課税)
2.1%(復興特別所得税)
10%前後(住民税)
為替差益 予約レート
あり
予約レート
なし
5%~45%(総合課税)
2.1%(復興特別所得税)
10%前後(住民税)
確定申告 利息
スワップポイント
なし 原則あり
例外なし
原則あり
例外なし
為替差益 予約レート
あり
予約レート
なし
原則あり
例外なし
損失の繰越控除 スワップポイント
為替差損
なし あり なし

FXと外貨預金の税金と確定申告の詳細は、下記の記事をご覧ください。

確定申告書と電卓とボールペン

FXの税金の仕組みと確定申告

2018年10月29日
確定申告書と電卓とノートパソコン

外貨預金の税金の計算方法と確定申告の必要性

2018年11月1日

確定申告 国税庁