FXのレバレッジは何倍までが安全か

レバレッジに応じたリスク、リターンと損失許容額と目標利益額

FXはレバレッジが最大の特徴といわれますが、レバレッジとは何なのでしょうか?また、レバレッジの倍率は何倍にすればよいのでしょうか?ロスカットルールとレバレッジ規制も説明します。

目次

FXと外貨預金のリスクの比較

リスクとリターン

FXと外貨預金ではリスクはどう違うのでしょうか?FXはレバレッジの倍率に応じてリスクが変化します。レバレッジはFX会社に預けたお金を担保にして、投資資金よりも大きい取引ができます。例えば、レバレッジ10倍なら投資資金の10倍の取引ができ、為替差損益と金利も10倍になります。為替差損、スワップポイントの支払いがリスクで、為替差益とスワップポイントの受け取りがリターンです。レバレッジ1倍であれば外貨預金と同じ取引金額です。投資資金が100万円の場合の外貨預金とFXの比較は下記の通りです。

外貨預金とFXのリスクとリターンの比較
リスクまたはリターン 外貨預金
取引金額100万円
FX
レバレッジ1倍
取引金額100万円
レバレッジ10倍
取引金額1,000万円
1ドル101円
(円安)
+1万円 +1万円 +10万円
1ドル99円
(円高)
-1万円 -1万円 -10万円
金利 取引金額
×預金金利
取引金額
×スワップポイント
取引金額
×スワップポイント

元本に対するリスク

FXと外貨預金では元本に対するリスクが違います。元本に対するリスクは、元本割れ、元本消滅、元本を超える損失があります。元本割れのリスクは、外貨預金、国内のFX、海外のFXのいずれにもあります。元本消滅のリスクは、FXの「レバレッジ2倍以上」だけです。外貨預金、FXの「レバレッジ1倍」で元本消滅となる為替は1ドル0円であり、あり得ないからです。元本を超える損失のリスクは、国内のFXと一部の海外のFXにあります。その理由は、国内のFXについては国がFX会社の保護を優先しているからです。金融商品取引法第39条(損失補填等の禁止)で定められています。海外のFXでは、一部の会社でゼロカットシステムを採用しており、元本を超える損失のリスクがありません。しかし、悪質な会社もありますのでご注意ください。

外貨預金とFXの元本に対するリスクの比較
元本に対するリスク 外貨預金 FX(国内) FX(海外)
レバレッジ
1倍
レバレッジ
2倍~25倍
レバレッジ
1倍
レバレッジ
2倍~数百倍
元本割れ あり あり あり あり あり
元本消滅 なし なし あり なし あり
元本を超える損失 なし なし あり なし なし
(一部あり)

投資資金100万円で1万ドルを1ドル100円で購入した場合を考えてみます。FXの「レバレッジ2倍」で元本消滅となる為替は、1ドル50円、「レバレッジ3倍」は1ドル66円です。FXはロスカットルールとレバレッジ規制があり、下記の損失額が100万円になるレ-トより高いレートで強制決済されます。詳しくは後述します。

外貨預金とFXの為替レートに応じた損失額の比較
為替レート 外貨預金
(単位:万円)
FX
(単位:万円)
レバレッジ
1倍
レバレッジ
2倍
レバレッジ
3倍
レバレッジ
4倍
1ドル0円 -100 -100 -200 -300 -400
1ドル50円 -50 -50 -100 -150 -200
1ドル66.66円 -33 -33 -67 -100 -133
1ドル75円 -25 -25 -50 -75 -100

ロスカットレートの計算方法

FXのロスカットルールは、元本消滅のリスクを回避するため、元本割れの段階で強制決済する仕組みです。ロスカットルールは、FX会社ごとに決められた証拠金維持率になった時に自動的に決済されます。証拠金維持率は「(投資資金±評価損益±スワップポイント)÷(取引金額÷最大レバレッジ)」で計算します。FXの最大レバレッジは通常25倍ですが、FX会社により変わります。評価損益とは購入後に未決済の損益をいいます。投資資金100万円で取引した場合の証拠金維持率の計算方法は下記の通りです。

購入時の証拠金維持率の計算方法
(1)最大レバレッジ 25倍
(2)投資資金 100万円
(3)有効証拠金
(2±評価損益±スワップポイント
100万円
(4)取引金額(レバレッジ2倍) 200万円
(5)必要証拠金
(4)÷(1)
8万円
(6)証拠金維持率
(3)÷(5)
1,250%
評価損益とスワップポイントがある時の証拠金維持率の計算方法
(1)最大レバレッジ 25倍
(2)投資資金 100万円
(3)評価損失 4万円
(4)スワップポイント 1万円
(5)有効証拠金
(2)-(3)+(4)
97万円
(6)購入時の取引金額±評価損益±スワップポイント 197万円
(7)必要証拠金
(6)÷(1)
7.88万円
(8)証拠金維持率
(5)÷(6)
1,230%

ここでの計算は便宜上スワップポイントがないものとして計算します。証拠金維持率の計算は複雑です。しかし、実際に知りたいのは、レバレッジの倍率に応じた「ロスカット損失」と「ロスカットレート」です。購入時レート1ドル100円、ロスカットになる証拠金維持率50%の時のロスカット損失とロスカットレートの関係は下記の通りです。

ロスカットになる証拠金維持率の計算方法とロスカットレート
FX
レバレッジ
1倍
レバレッジ
2倍
レバレッジ
3倍
レバレッジ
4倍
(1)最大レバレッジ
(単位:倍)
25 25 25 25
(2)投資資金
(単位:万円)
100 100 100 100
(3)ロスカット損失
(単位:万円)
98 96 94 92
(4)有効証拠金
(単位:万円)
(2)-(3)
2 4 6 8
(5)取引金額
(単位:万円)
100 200 300 400
(6)必要証拠金
(単位:万円)
(5)÷(1)
4 8 12 16
(7)証拠金維持率
(単位:%)
(4)÷(6)
50 50 50 50
(8)ロスカットレート
(ドル/円)
2 52 68.66 77

最大レバレッジが高い程、またはロスカットになる証拠金維持率が低い程、ロスカットレートは低くなります。取引するレバレッジ、最大レバレッジ、ロスカットになる証拠金維持率が同じであれば、投資資金がいくらであってもロスカットレートは同じです。

最大レバレッジ25倍、証拠金維持率100%または50%、投資資金100万円、購入時レート1ドル100円の時のレバレッジに応じた「ロスカット損失」と「ロスカットレート」は下記の通りです。

ロスカットになる証拠金維持率100%のレバレッジに応じたロスカットレートとロスカット損失
レバレッジ
(単位:倍)
ロスカットレート
(単位:ドル/円)
ロスカット損失
(単位:万円)
1 4 96
2 54 92
3 70.66 88
4 79 84
5 84 80
6 87.33 76
7 89.71 72
8 91.5 68
9 92.88 64
10 94 60
11 94.9 56
12 95.66 52
13 96.3 48
14 96.85 44
15 97.33 40
16 97.75 36
17 98.11 32
18 98.44 28
19 98.73 24
20 99 20
21 99.23 16
22 99.45 12
23 99.65 8
24 99.83 4
25 100 0
ロスカットになる証拠金維持率50%のレバレッジに応じたロスカットレートとロスカット損失
レバレッジ
(単位:倍)
ロスカットレート
(単位:ドル/円)
ロスカット損失
(単位:万円)
1 2 98
2 52 96
3 68.66 94
4 77 92
5 82 90
6 85.33 88
7 87.71 86
8 89.5 84
9 90.88 82
10 92 80
11 92.9 78
12 93.66 76
13 94.3 74
14 94.85 72
15 95.33 70
16 95.75 68
17 96.11 66
18 96.44 64
19 96.73 62
20 97 60
21 97.23 58
22 97.45 56
23 97.65 54
24 97.83 52
25 98 50

追加証拠金とレバレッジ規制

FXはロスカットルールに加えて、レバレッジ規制があります。国内のFX会社のレバレッジの倍率は25倍が限度です。海外のFX会社のレバレッジの倍率の限度は数百倍です。最大レバレッジが25倍のFX会社では、証拠金維持率が100%を下回らないようにしなければなりません。証拠金維持率は、ロスカットのルールで説明したものです。証拠金維持率が100%の時のロスカット損失、ロスカットレートは、ロスカットになる証拠金維持率100%の表をご覧ください。

証拠金維持率が100%を下回ると、FX会社は次のいずれかの方法で追加証拠金を口座から引き落とします。

  • すぐに強制決済する。
  • 一定期間が過ぎても「投資資金の追加」「ポジションの決済」によって、証拠金維持率が100%以上にならないと、強制決済する。

「投資資金の追加」「ポジションの決済」以外の理由、例えば、評価損が縮小して証拠金維持率が100%以上になっても、強制決済になるのでご注意ください。すぐに強制決済をするFX会社は、ロスカットになる証拠金維持率を100%にして、ロスカットルールとレバレッジ規制の2つの「強制決済レート」を同じレートにしています。すぐに強制決済するレートが2つある必要がないからです。

ロスカットルールとレバレッジ規制の2つの強制決済レートが違う場合

レバレッジ超過レートは1ドル79円で、一定期間経過後に強制決済されます。ロスカットレートは1ドル77円で、すぐに強制決済されます。

ロスカットルールとレバレッジ規制の2つの強制決済レートが同じ場合

レバレッジ超過レートとロスカットレートは1ドル79円で、すぐに強制決済されます。

ボラティリティとロスカット

ボラティリティとは、一定期間における価格の変動の大きさをいいます。大きな事件が起きた時は、短い時間で価格が大きく動くので、ボラティリティが高くなります。平常時は価格の動きが一定なので、ボラティリティは低いです。ボラティリティは、通貨の種類や取引の時間帯により大きく異なります。取引量が少ない通貨や、取引が少ない時間帯は、ボラティリティが高くなります。また、ボラティリティが高い時はスプレッドが拡大しやすいです。スプレッドとは為替手数料のことです。

ボラティリティが低い時は、ストップレートやロスカットレートで決済されます。しかし、ボラティリティが高い時は、ストップレートやロスカットレートを越えたレートで決済されることがあります。特に、レバレッジの倍率が高い場合は、元本が消滅したり、元本を超える損失になりやすいので注意が必要です。ゼロカットシステムを採用している一部の海外のFX会社は、元本を超える損失になることはありません。

投資資金100万円、購入時レート1ドル100円、ロスカットになる証拠金維持率50%、ハイレバレッジ、ボラティリティが高い時の理論上のロスカット損失と実際のロスカット損失は下記の通りです。

ボラティリティが高くロスカットレートを超えて決済されたケース
FX(国内) FX(海外)
レバレッジ
1倍
レバレッジ
25倍
レバレッジ
25倍
理論上のロスカット損失 98 50 50
ロスカットレート
(ドル/円)
2 98 98
実際のロスカット損失
(1ドル97円に飛んだ)
0 75 75
ボラティリティが高く元本を超える損失となったケース
FX(国内) FX(海外)
レバレッジ
1倍
レバレッジ
25倍
レバレッジ
25倍
理論上のロスカット損失 98 50 50
ロスカットレート
(ドル/円)
2 98 98
実際のロスカット損失
(1ドル95円に飛んだ)
0 125 100

おすすめのレバレッジの決め方

レバレッジは損切りの目安に基づき決めた方が安全です。ロスカットレートを損切りの目安にする場合、レバレッジに応じてリスクが変わります。低いレバレッジは強制決済になるレートを低くできますが、損失額が大きくなります。ポジションを長く保有する場合に適しています。高いレバレッジは強制決済されるレートが高くなり、損失額が小さくなりますが、ボラティリティが高くなると思わぬ損失額になります。ポジションを短く保有する場合に適しています。

ロスカットレートを低くできるレバレッジ1倍から始め、ストップレートを損切りの目安にすることをおすすめします。ストップレートとは購入時に想定していない為替レートをいいます。ストップレートを設定することで、レバレッジを許容できる損失額に応じて変動させることができ、取引回数に余裕が生まれます。継続して安定的に勝てるようになったら、ボラティリティに注意しながらレバレッジを少しだけ上げるとよいです。

おすすめのレバレッジの計算方法
(1)投資資金
(単位:万円)
100 100
(2)一回の取引で許容できる損失額
(単位:万円)
2 4
(3)購入レート
(ドル/円)
100 100
(4)ストップレート
(ドル/円)
99.4 99.4
(5)レバレッジ1倍の時の損失額
(単位:万円)
(3)-(4)]÷(3)×(1)
0.6 0.6
(6)許容できる損失額となるレバレッジ
(2)÷(5)
5倍 10倍

損切りの目安をストップレートにする方法は、投資資金に応じた一回の取引で許容できる損失額を初めに決めます。次に購入レートとストップレートを決めます。そして、購入レートからストップレートになったら、何%為替が下落するのかを計算します。この下落率に投資資金を乗じると、レバレッジ1倍の時の損失額が分かります。最後に一回の取引で許容できる損失額になるレバレッジを計算します。

相場の動き方は多様であり、自分の得意なパターンに応じてレバレッジを変動させると、利益の幅も大きくなります。

ロスカットルールとレバレッジ規制の2つの強制決済レートとストップレートが違う場合

ストップレートは1ドル99.4円で、すぐに強制決済されます。レバレッジ超過レートは1ドル79円で、一定期間経過後に強制決済されます。ロスカットレートは1ドル77円で、すぐに強制決済されます。

レバレッジに応じたリスク、リターンと損失許容額と目標利益額