為替レートの変動要因

為替レートは2つの通貨の需要と供給で決まりますが、これらの変動要因はさまざまです。為替レートの予想は変動要因を理解しなければできません。「実需」、「投機」、「介入」の変動要因に分けて説明します。

実需

実需は「貿易取引」と「資本取引」が中心です。実需であっても通貨が同じ国同士の取引は為替レートの変動要因になりません。例えば、ユーロ採用国同士、米ドル採用国同士の取引は為替レートの変動要因ではありません。

貿易取引

貿易取引は買い切り、売り切りです。そのため、長期的な為替レートの変動要因です。貿易黒字の国は自国通貨高、貿易赤字の国は外貨高の変動要因です。輸出入企業は採算が合っていればよいので、トレンドとは関係なく売買します。
貿易取引は輸出と輸入があります。輸出は国内の商品を国外に売って外貨を得ます。最終的には外貨で自国通貨を買うので自国通貨高要因です。輸出企業は決算が近くなると外貨で自国通貨を買います。輸入は自国通貨で国外の商品を買います。自国通貨で外貨を買うので外貨高要因です。輸入企業は支払日に自国通貨で外貨を買います。

輸出入企業の為替取引の考え方

資本取引

資本取引は買い戻し付き、売り戻し付きです。為替リスクをヘッジする場合は為替レートの変動要因になりません。ヘッジしない場合は買った時と売った時に為替レートが変動します。また、投資期間を含む長期間で比べると為替レートの変動要因になりません。資本取引は間接投資と直接投資があります。

間接投資

間接投資は「証券投資」が中心です。証券投資は対外証券投資と対内証券投資があります。
対外証券投資は自国通貨で国外の証券を買います。自国通貨で外貨を買うので外貨高要因です。逆に売る時は自国通貨高要因です。日本の機関投資家は3月決算が多く、4月、5月に買って、決算前までに売ります。
対内証券投資は外貨で国内の証券を買います。外貨で自国通貨を買うので自国通貨高要因です。逆に売る時は外貨高要因です。海外の機関投資家は12月決算が多く、1月に買って、決算前までに売ります。

機関投資家の為替取引の考え方

直接投資

直接投資とは企業が国外の企業を買収、工場を建設することなどをいいます。投資期間は長期間です。直接投資は対外直接投資と対内直接投資があります。買収資金の調達方法は以下の通りです。

  • 自国通貨で外貨を買う
  • 現地で外貨を借りる
  • 株式交換する

1つ目の方法は為替レートの変動要因です。2つ目と3つ目の方法は為替レートの変動要因ではありません。上記の方法が明確でなく、企業買収のニュースだけで為替レートが大きく変動することがあります。企業買収が白紙になるか、2つ目と3つ目の方法になると為替レートが急変動するので注意が必要です。

投機

投機は為替差益が目的です。資本取引と同様に買い戻し付き、売り戻し付きです。資本取引と違う所は短期の売買が多い点です。そのため、短期的な為替レートの変動要因です。投機は銀行、機関投資家、ヘッジファンド、個人投資家が中心です。為替差益を得るためには実需の影響だけでなく、為替レートという金融商品の特徴を理解する必要があります。為替レートの分析方法には過去の価格の変動を分析するテクニカル分析と、過去の経済状況の変動と価格の関係を分析するファンダメンタルズ分析があります。

投機筋の為替取引の考え方

介入

中央銀行は為替レートの水準が適正でないと判断して介入することがあります。一般的には中央銀行の介入は為替レートの大きな変動要因です。しかし、外国為替市場全体の取引金額は大きいので、介入するタイミングがよくないと一時的な変動要因で終わってしまいます。中央銀行が自国通貨売りの介入をした場合、外貨準備高が増えます。外貨準備高は米国債などで運用されます。
為替レートの水準は自国の経済だけでなく、他国の経済にも影響を与えます。過去には自国の経済を優先して為替レートの水準を決め、他国の反発にあったことがあります。その反省から、他国の合意の上で介入や金融政策を決めることが一般的になりました。為替レートの介入姿勢は各国の経済構造により異なります。例えば、日本は資源に乏しく、付加価値のある商品を輸出することで経済基盤を築いてきました。輸出は円安になると稼いだ外貨の値段が高くなるので有利です。逆に円高になると稼いだ外貨の値段が低くなるので不利です。そのため、日本の中央銀行は行き過ぎた円高になると介入しやすいです。

中央銀行の為替取引の考え方