FXの注文方法の種類

FXの注文方法の種類

FXの注文方法の種類は、成行、指値、逆指値、IFD、OCO、IFO、トレールがあります。これらを組み合わせたFX業者の独自の注文方法もあります。

目次

成行注文

成行注文は、リアルタイムレートで注文する方法です。FXの成行注文は、約定可能なスリッページの幅を設定できます。そのため、FXの成行注文は、ストリーミング注文、リアルタイム注文、マーケット注文、クイック注文、2way注文と呼ばれることがあります。スリッページは、注文価格と約定価格の差額です。為替レートは、顧客からFX業者までの注文の通信時間と、FX業者が注文を約定処理するまでの時間に変動することがあります。この変動幅がスリッページの幅の範囲であれば変動した後の為替レートで約定し、そうでなければ約定拒否されます。約定価格は顧客にとって有利になる場合もあれば、不利になる場合もあります。

FXのスリッページの限度幅は、ドル円とクロス円は銭またはpips(price interest points)、その他の通貨ペアはpipsで表記されることがあります。1pipsは、ドル円とクロス円が0.01、その他の通貨ペアのほとんどが0.0001です。例えば、ドル円のスリッページの限度幅が0.3銭または0.003pipsの場合、注文価格と約定価格の差額は最大で0.003です。ユーロドルのスリッページの限度幅が0.3pipsの場合、注文価格と約定価格の差額は最大で0.00003です。

FXの不利なスリッページ

ドル円の買いの成行注文ボタンをクリックした時のドル円のアスクが100で、これをFX業者が約定処理する時にドル円のアスクが100.003に変わったとします。スリッページの限度幅が0.3pipsの場合、100.003で約定します。アスクは、顧客にとって買値です。

FXの有利なスリッページ

ドル円の買いの成行注文ボタンをクリックした時のドル円のアスクが100で、これをFX業者が約定処理する時にドル円のアスクが99.97に変わったとします。スリッページの限度幅が0.3pipsの場合、99.97で約定します。

スリッページの未設定と、0pipsのスリッページの限度幅は違います。スリッページの未設定の成行注文は、必ず約定しますが、スリッページの幅に制限がありません。0pipsのスリッページの限度幅の成行注文は、顧客が注文ボタンをクリックした時のリアルタイムレートで約定されるか、または約定拒否されます。0pipsのスリッページの限度幅の成行注文が約定しやすい時は、流動性が高く、為替レートの値動きがゆるやかな時です。

FXのスリッページの限度幅が0で約定

ドル円の買いの成行注文ボタンをクリックした時のドル円のアスク(ask)が100で、これをFX業者が約定処理する時にドル円のアスクが100のままであったとします。スリッページの限度幅が0pipsの場合、100で約定します。

FXのスリッページの限度幅が0で約定拒否

ドル円の買いの成行注文ボタンをクリックした時のドル円のアスク(ask)が100で、これをFX業者が約定処理する時にドル円のアスクが100.003に変わったとします。スリッページの限度幅が0pipsの場合、約定拒否されます。

指値注文

指値注文は、リアルタイムレートよりも安いレートを指定して買う注文と、リアルタイムレートよりも高いレートを指定して売る注文です。指定レートよりも有利に約定することもあります。新規の指値注文は、上昇トレンドの押し目買い、下落トレンドの戻り売りでよく使われます。決済の指値注文は、利益の確定でよく使われます。買いの指値は、アスクが指定レートになったら約定されます。売りの指値は、ビッドが指定レートになったら約定されます。スプレッドが広がった時でも指定したレートになったら約定されます。価格が指定レートを超えて更新された場合、更新後の価格で約定されます。

指値で買いの新規注文と指値で売りの決済注文

ドル円が上昇トレンドで直近安値が99、直近高値が101、リアルタイムレートが100.5の時に、100の指値で新規に買います。その後、この注文が約定したら102の指値で売り決済します。

指値で売りの新規注文と指値で買いの決済注文

ドル円が下落トレンドで直近高値が101、直近安値が99、リアルタイムレートが99.5の時に、100の指値で新規に売ります。その後、この注文が約定したら98の指値で買い決済します。

逆指値注文

逆指値注文は、リアルタイムレートよりも高いレートを指定して買う注文と、リアルタイムレートよりも安いレートを指定して売る注文です。リアルタイムレートが指定したレートに到達したら、前者は買いの成行注文、後者は売りの成行注文が執行されます。この成行注文のスリッページの限度幅の指定の有無は、FX業者により異なります。新規の逆指値注文は、ブレイクアウトトレードでよく使われます。決済の逆指値注文は、損失の確定でよく使われます。買いの逆指値は、アスクが指定レートになったら執行されます。売りの逆指値は、ビッドが指定レートになったら執行されます。スプレッドが広がった時でも指定したレートになったら執行されます。価格が指定レートを超えて更新された場合、更新後の価格で執行されます。

逆指値で買いの新規注文と逆指値で売りの決済注文

ドル円が下落トレンドで直近高値が101、直近安値が100、リアルタイムレートが100.5の時に、101の逆指値で新規に買います。その後、この注文が約定したら100の逆指値で売り決済します。

IFD注文

IFD(if done)注文は、指値または逆指値の新規注文と、指値または逆指値の決済注文を同時に注文する方法です。この決済注文は、新規注文が約定した後に有効になります。この決済注文は、利益の確定または損失の確定のどちらかしかできません。

IFD注文(指値で買いの新規注文と指値で売りの決済注文)

ドル円のリアルタイムレートが100.5の時に、IFD注文(100の指値の新規の買い、101の指値の売りの決済)をします。その後、リアルタイムレートが100になり、この新規注文が約定されると、101の指値で売りの決済注文が有効になります。

IFD注文(指値で買いの新規注文と逆指値で売りの決済注文)

ドル円のリアルタイムレートが100.5の時に、IFD注文(100の指値の新規の買い、99.5の逆指値の売りの決済)をします。その後、リアルタイムレートが100になり、この新規注文が約定されると、99.5の逆指値で売りの決済注文が有効になります。

OCO注文

OCO(one cancels the other)注文は、指値注文と逆指値注文を同時に注文し、どちらかの注文が約定されたら、もう片方の注文はキャンセルされる注文方法です。OCO注文の指値注文と逆指値注文は、売買方向が同じです。例えば、買いの指値注文であれば、買いの逆指値注文です。逆に売りの指値注文であれば、売りの逆指値注文です。決済のOCO注文は、利益の確定と損失の確定の両方ができます。新規のOCO注文は、あまり使われませんが、トレンド中のレンジ相場で使う考えもあります。

OCO注文(指値で売りの決済注文と逆指値で売りの決済注文)

ドル円の買いポジション(1ドル100円)を持った直後に、OCO注文(101の指値の売りの決済、99の逆指値の売りの決済)をします。その後、リアルタイムレートが101になると、101の指値で売りの決済注文が約定され、99の逆指値で売りの決済注文はキャンセルされます。

OCO注文(逆指値で買いの新規注文と指値で買いの新規注文)

ドル円のリアルタイムレートが100.5の時に、OCO注文(100の指値の新規の買い、101の逆指値の新規の買い)をします。その後、リアルタイムレートが101になると、101の逆指値で買いの新規注文が約定され、100の指値で買いの新規注文はキャンセルされます。

IFO注文

IFO注文は、IFDの決済注文がOCOである注文方法です。IFOの決済注文は、利益の確定と損失の確定の両方ができます。このOCO注文は、新規注文が約定した後に有効になります。

IFO注文(指値で買いの新規注文とOCOの売りの決済注文)

ドル円のリアルタイムレートが100.5の時に、IFO注文(100の指値の新規の買い、OCO(101の指値の決済の売り、99.5の逆指値の決済の売り))をします。その後、リアルタイムレートが100になり、この新規注文が約定されると、OCO注文が有効になります。その後、リアルタイムレートが101になると、101の指値で売りの決済注文が約定され、99.5の逆指値で売りの決済注文はキャンセルされます。

トレール注文

トレール注文は、買いの逆指値がリアルタイムレートの下落に応じて自動で下がる注文(買いトレール)と、売りの逆指値がリアルタイムレートの上昇に応じて自動で上がる注文(売りトレール)です。この逆指値の変動幅をトレール幅といいます。トレール幅の変化は一方向のみです。買いトレールの逆指値は、下がるだけで上がりません。売りトレールの逆指値は、上がるだけで下がりません。トレール幅は、指定できます。トレールを開始するレートの指定の有無は、FX業者によって異なります。決済のトレール注文は、トレンドに乗っている時は逆指値が更新されていきます。この更新後の逆指値は、更新前の逆指値よりも有利になるので、損失が減少または利益が増加します。新規のトレール注文は、あまり使われませんが、ブレイクアウトトレードで使う考えもあります。

上昇トレンドでの売りトレールの決済注文

ドル円の買いポジション(1ドル100円)を持った直後に、決済のトレール幅が1円の売りトレール注文をします。この時の売りの逆指値は99です。ドル円のリアルタイムレートが101に変わると、売りの逆指値は100に変わります。その後、ドル円のリアルタイムレートが100.5に変わっても、売りの逆指値は100のままで変わりません。その後、ドル円のリアルタイムレートが102に変わると、売りの逆指値は101に変わります。

下降トレンドでの買いトレールの決済注文

ドル円の売りポジション(1ドル100円)を持った直後に、決済のトレール幅が1円の買いトレール注文をします。この時の買いの逆指値は101です。ドル円のリアルタイムレートが99に変わると、買いの逆指値は100に変わります。その後、ドル円のリアルタイムレートが99.5に変わっても、買いの逆指値は100のままで変わりません。その後、ドル円のリアルタイムレートが98に変わると、買いの逆指値は99に変わります。

レンジでの買いトレールの新規注文

ドル円のリアルタイムレートが100.5の時に、新規のトレール幅が1円の買いトレール注文をします。この時の買いの逆指値は101.5です。ドル円のリアルタイムレートが99.5に変わると、売りの逆指値は100.5に変わります。その後、ドル円のリアルタイムレートが100.5に変わると、買いの逆指値注文が約定します。